なぜ空は青いの?

【依頼内容宇宙は黒いのに空が青く見えるのはなぜですか?

夜空や宇宙は黒く見えますが、晴れた日の昼間の空は青く見えますよね。

この記事では、そのメカニズムについて詳しく解説します。

太陽から届く光(太陽放射)

空が青く見える理由は、太陽から放出される光に関係しています。

太陽は電磁波と呼ばれる波を放出していて、これを太陽放射といいます。

電磁波とは、電場と磁場の変化が伝わっていく波のことで、一般的に「光」と呼ばれるものは電磁波を意味しています。

電磁波は波長によって以下のようにおおまかに分類されています。

レントゲン検査に使用されているX線や情報科学社会に不可欠な電波も電磁波の一種です。

太陽の光は、これら電磁波のうち、私たち人間の目で見ることができる可視光線を最も強く放射しています。

空が青く見える理由は、光がレイリー散乱しているから

さて本題ですが、空が青く見える理由はレイリー散乱が起こるからです。

レイリー散乱とは電磁波の散乱の一種です。

電磁波は、その波長と媒質中の粒子のサイズ(半径)で散乱の様子が変化します。

電磁波の波長が粒子のサイズよりも非常に大きい場合におこる光の散乱はレイリー散乱(Rayleigh scattering)と呼ばれています。

レイリー散乱という名は、この現象の説明を試みたレイリー卿(Lord Rayleigh)にちなんで名づけられました。

レイリー散乱による散乱強度Iは以下の式で与えられます (Seinfeld & Pandis, 2006)。

ここで、I0は入射光の強度、λは電磁波の波長、Vは粒子の体積、Rは粒子までの距離、nは屈折率です。

この式から、散乱強度は電磁波の波長の4乗に反比例していることがわかります。

つまり、波長が短いほど散乱強度が強くなるということですね。

太陽放射で最も強いのが可視光線でしたが、可視光線の波長は空気中の気体分子の半径よりもはるかに大きいので、レイリー散乱となります。

可視光線のうち、青色の光の方は他の色の光よりも波長が短いので、上式にあるように青色の光が強く散乱されます。

強く散乱された青色の光が私たち観測者の眼に届くことで、空が青くなるというわけです。

鋭い人は「紫色の光の方が青色の光よりも波長が短いじゃないか!」と思うかもしれませんが、

紫色の光は大気を通過する途中でほとんど散乱されてしまい、私たちの眼に届く前に減衰してしまうため、空は紫色にはなりません。

参考文献

  • John H.-S. and Spyros N.-P. (2016). Atmospheric Chemistry and Physics: From Air Pollution to Climate Change (3rd ed.). John Wiley & Sons, ISBN-13: 978-1118947401.
  • 小倉義光. (2016). 「一般気象学」, 東京大学出版会.

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