台風の衛星写真や天気図を見ると、まるで渦の中心にぽっかりと穴が開いたような「台風の目」が現れることがあります。
一見不思議なこの現象、なぜ台風の中心だけが晴れて静かなのか?と疑問に思ったことはありませんか?
本記事では、台風の「目」ができる仕組みや特徴について、やさしい言葉と科学的な視点から詳しく解説していきます。
台風とは何か?ざっくりおさらい
台風とは、熱帯の海上で発生する強い低気圧のことです。日本では毎年夏から秋にかけて多く発生し、暴風や大雨をもたらします。
台風は次のような条件で発生・発達します:
- 海水温が約26.5℃以上
- 水蒸気が豊富
- 上空の風の流れが弱く安定している
台風は熱エネルギー(海水の蒸発)を動力源としており、強い上昇気流を伴う雲のかたまりとして成長します。
台風の「目」って何?
台風の「目」は、台風の中心にできる、直径20〜60kmほどのほぼ円形の静かな領域です。
この部分は雲が少なく、風も雨も弱いため、上空から見るとぽっかりと「穴」が開いたように見えるのです。
しかし、台風の「目」は嵐の中心。その周囲(目の壁)では、猛烈な風と雨が吹き荒れているため、油断は禁物です。
台風の「目」ができる仕組み
台風の目ができる理由には、以下のような気圧と風の物理的な仕組みが関係しています。
① 中心に向かって空気が集まる
台風は低気圧なので、周囲の空気は気圧の低い中心へ向かって流れ込みます。これにより、中心では空気が大量に集まり、上昇気流が発生します。
② 空気が上昇して雲と雨をつくる
上昇した空気は冷やされて水蒸気が凝結し、積乱雲(雷雲)となり、強い雨を降らせます。この積乱雲が渦状に取り巻いているのが「台風の壁雲(アイウォール)」です。
③ 上昇後の空気が周囲に広がり、中心が落ち着く
空気が上昇して雲になったあと、上空では外側へ押し出されるため、台風の中心部分(目)には下降気流が生まれます。この下降気流により、雲が消え、天気が一時的に穏やかになります。
つまり、台風の目とは「下降気流によって雲ができず、風も弱い空間」なのです。

台風の発達と「目」の関係
台風の目は、台風が強く発達しているほどハッキリと現れます。気象衛星の画像では、目がくっきり見える台風は「非常に強い」ことの証でもあります。
目が現れるのは強い台風だけ
発達途中の台風や弱い熱帯低気圧では、目が形成されないこともあります。逆に、目が大きくなるのは勢力がピークを過ぎた兆候でもあります。
観測画像で見る「台風の目」
気象衛星 ひまわり のリアルタイム画像では、目の存在を明確に確認することができます。
台風の目に入るとどうなる?
台風の中心(目)に入ると、一時的に風が弱まり、雨が止んで空が晴れることもあります。まるで嵐が去ったかのように感じるかもしれません。
しかし、これは台風の目に一時的に入っているだけ。その後、逆方向から猛烈な暴風雨(後半の壁雲)が再び襲ってきます。
気象庁もこの点について以下のように注意喚起を行っています:
台風の「目」に入ると風や雨が急に弱まりますが、これは嵐の中心に一時的に入っているにすぎません。再び暴風域に入る前に安全を確保してください。 (気象庁「台風の目」について)
なぜ「目」の中だけ静かになるのか?
台風の目が静かな理由は、以下のような物理的現象のバランスによって説明できます。
- 中心部は最も気圧が低く、風の吹き込みがない
- 上空で空気が外側へ逃げ、下降気流が生まれる
- 雲ができにくく、視界が良好になる
また、目の直径は数十kmとかなり広く、飛行機や気球で内部を観測する研究も行われています。
台風の「目」を利用した観測・研究
アメリカなどでは、台風の目に突入する専用機(ハリケーンハンター)を使って中心気圧や風速、温度などを直接測定しています。
日本でも、気象庁の台風研究や、防災科学技術研究所などの機関が、気象衛星やドップラー・レーダーを用いて「目」の構造や変化を観測しています。
まとめ:台風の目とは何か?
- 台風の目は中心にできる静かな領域で、下降気流によって雲が少ない
- 空気が中心に集まり、上昇→外側に逃げる→下降という循環が発生する
- 強い台風ほど目がくっきりしており、発達の目安になる
- 目の中は静かでも、再び暴風雨に襲われる危険がある
台風の「目」は、自然界の壮大な気象現象が生み出す不思議な空間です。知識を持っておくことで、台風への理解が深まり、安全対策にも役立ちます。



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