前回は、自然界で起きるオーロラのメカニズムについてご紹介しました。
では、あの美しいオーロラを人工的に作り出すことはできるのでしょうか?
実はすでに、ロケットを使った人工オーロラの実験が、何度も行われているんです!

そもそも「人工オーロラ」って何?
「人工オーロラ」とは、
人間の手で地球の高層大気に“光の発光”を引き起こす実験です。
オーロラが発生する仕組みは、太陽風の粒子が大気の酸素や窒素とぶつかって、エネルギーを光として放出するというものでしたね。
つまり、その「粒子のぶつかり合い」を人工的に再現すれば、理論的にはオーロラも作れるというわけです。
実際にあった人工オーロラの実験
● アメリカの「PROJECT ARGUS」(1958年)
冷戦時代に行われた核実験の一環で、高高度での爆発により**人工の光現象(オーロラ様の発光)**が観測されました。
ただしこの実験は軍事目的で、科学的な意味合いとはやや異なります。
● ノルウェーの「EISCAT(アイスキャット)」実験(1980年代〜)
ヨーロッパでは、ノルウェーのトロムソにある**EISCAT(高層大気観測施設)**を使って、
「高周波の電波(HF波)」を大気に照射し、プラズマ反応を起こして光を発生させるという実験が行われています。
実験の目的:
- 電離層の挙動の解明
- 磁気圏と大気の相互作用の理解
- 通信障害やGPSへの影響を研究するため
結果的に、人工的な発光(オーロラに似た現象)が一時的に観測されることもありました。
● 日本の「S-520ロケット」実験(JAXA)
日本でも、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が高層大気を観測するためのロケット実験を行っています。
例:
- ロケットからバリウムやリチウムなどの金属イオンを放出し、それが大気中で光を放つ様子を観測
- 色付きの光の軌跡が一時的に現れ、これが「人工オーロラに近い現象」として注目されました
人工オーロラの目的は「科学のため」
人工オーロラの実験は、
- 本物のオーロラが出ないときでも同様の現象を再現できる
- 電離層や磁気嵐の影響を安全に調べることができる
- 通信・衛星・GPSに影響を与える宇宙天気の予測に役立つ
など、宇宙環境や地球の大気を研究するための大切な手段です。
「観光用の人工オーロラ」は現時点では難しい
残念ながら、観光地で「人工オーロラショー」を開くといったレベルには、まだ達していません。
なぜなら、
- 発生には**高高度の上空(約100km以上)**が必要
- 特別な粒子や装置、ロケットなど大規模な設備が必要
- 安全性やコストの課題が大きい
からです。
とはいえ、将来的には「気象制御」や「宇宙広告」など、人工的な大気発光現象の活用が進む可能性もあります。
まとめ
人工オーロラは、
ただの「再現」ではなく、自然現象を理解するための窓でもあります。
人類は自然を真似しながら、少しずつその謎に近づいているのです。
次にオーロラを見上げたとき、その裏側にある科学者たちの挑戦も感じてみてくださいね。


